“異変”
――それは、唐突に起こるもの。
桜が散り、農夫が田植えの準備に取り掛かり始めた時期のある日、
幻想郷にまた新しい異変が起こった。
突如として現れた、人・妖怪・妖精、どれにも当てはまらない存在。
それは見た目から“人形”と名付けられた。
人形はどこからともなく現れ、自由気ままに行動する。
幻想郷中に溢れた人形たちは、次第に悪さまでするようになった。
中には幻想郷を維持する、大結界に影響をおよぼす人形まで……。
人形には人形でしか対応できず、みな人形を持ち対処を始めたが、
それでも人形の増殖は収まらない。
博麗神社の巫女である博麗霊夢も人形で解決しようと動き始めていたが、
その糸口はなかなか見当たらなかった。
――――――――
季節は夏。
暇を持て余していた人間がひとり、
何かと噂の絶えない廃神社へと足を向けていた。
博麗神社というらしい、その神社に向かうバスの中で、
人間は不思議な夢を見る。
「――あなたは 幻想郷をご存知かしら?」